主に、レコードとVDSの話です。
 我々が加盟しているJAPRS(一般社団法人日本音楽スタジオ協会)の集まりでは、レコーディング・エンジニアのテクニシャンが多数在籍されているだけあり、黒盤スペシャリストの方々が多く(先日は長年の謎であったカラー盤との音の違いについて講習頂きました)、以前、都内にあったZやWから始まるレコード屋の話題で盛り上がったり、我らがVDSで買い物をされた方もいらっしゃり、あらゆる角度からレコードをネタに話を展開しております。  
 昨年の11月、亀有にオープンしたVDSのオープン日では実に20年振りに昔のレコード仲間と再会する奇跡が起きており、そこからまた色々と繋がり、新たな再会も有り、リアルショップならではの有効性を感じております。ヤングライオンが多い、VDSメンバーは私と一回りも二回りも離れておりますが、愛盤家同士のトークはその差を全く感じさせません。   
 リアルショップの面白さを再認識したところで、私が最もハマっていた90年代のレコード屋について今回、振り返ります。    

 第一回目は新宿でも、最もディープなエリア西新宿を。

 

 
私が初めて輸入盤のレコードを買った(買わされた)のは小6の時であり、6つ上の兄が愛読していたFool’s Mate(フールズメイト ※もちろんビジュアル系になる前)の広告に載っていたSarah(サラ)というUKネオアコ・レーベルの7インチでした。長野に住んでましたので、輸入盤を買うには通信販売しかありません。その店は、UK EDISON(ユーケー・エジソン)という名前で、実店舗が西新宿に有りました。中学の頃、既に上京していた兄(2浪)に東京ガイドをしてもらった際に連れてかれました。兄は暇そうな2Fの店主と親しげに会話をしておりましたが、私は早くアイドールという西新宿にかつて在ったプロレス専門店に行きたかったので、内心、早くしろよと心の中でブロディシャウトしてました。後日、私が兄に貸したゲームギアを、余りに暇で悩んでいる店主に又貸しをして、そのまま借りパクされてしまったという事実を知りました。アイドールで週プロのバックナンバーを漁り、ルチャリブレのマスクを本気で悩んでいた弟に危険を感じたのか、兄はこの先のROUGH TRADE(ラフ・トレード)に居ると告げ、先に出て行きました。アイドールで大量のプロレスグッズを買い、ROUGH TRADEなる店を目指したのです。白と黒の看板を見つけ、やや急な階段を昇り、2F右側のドアを開けると、またしても店員と親しげに会話している兄が居ました。輸入盤独特の匂いと、崩れた天井から除く配管がインダストリアルで非常にカッコ良い店でした。

 96年に上京し、真っ先にROUGH TRADE(通称ラフトレ)に行きました。他の店とは異なる品揃えでインディーロックだけで無く、アブストラクトや音響系の品揃えがピカイチで、どこよりも入荷が早かったのです。MO’WAXのExcursionsシリーズはラフトレが真っ先にプッシュしておりました。後にロンドンにある実店舗も行きましたが、西新宿のラインナップとは全く異なり、TOKYOの方が面白いなと感じたものです。日本では手に入らない、ROUGH TRADEのレコードバッグには憧れましたが。ザ・スミスが台頭した80年代のラフ・トレードは、国内ライセンス盤も多数リリースされ、雑誌の広告でも良く見かけた名門レーベルでしたが、90年代後期はレーベルよりもショップのイメージが強く、2000年以降にレーベルが一気に再興した印象でしたね。90年代のレコ屋は、現在と異なり、レコードの試聴サービスなんて皆無で、試聴するには有名DJになるか、店員と仲良くなるしか方法はありませんでした。西新宿のラフトレで思い出すのは、遂に店員と遂に仲良くなり、購入前に試聴させてもらったところ外国人の店長さんに試聴ダメねと怒られた事です。ラフトレのスタッフが独立して原宿で開いたDUOTONEは短命でしたが、非常に良いお店でした。

 ピンクのレコード袋のVINYL JAPAN(ビニール・ジャパン)にも良く行きました。当時はPART1、PART2など近隣に何店舗かあり、ロックからプログレ、クラブ系まで網羅してました。 買い付けの中古レコードを購入すると、汚れに気付いたベテランの長髪レジスタッフがZIPPOオイルを使い、キレイにしてくれました。さらに買った枚数分のスリーブもおまけしてくれるのです。家で真似してZIPPOオイルを使うと、ジャケの材質のよっては変色してしまい、注意が必要だぞェと学びました。 VINYLの先にはライブハウスLOFT(旧)も近くにあり、PUNK/ハードコアなガールも多く出没し、同じ小滝橋通りにあったコンビニ、サンクスには当時、絶対NGなピンクや金髪やらパンキッシュな髪型のスタッフが働いてました。近くの本屋(博文堂書店)でBURST(バースト)を立ち読みして、思い出横丁から東口に向かう地下道の途中にあった、バイト先であるビデオショップに戻るのがルーティンでした、今っぽく喩えると、勤務・オブ・ディギンです。  

 ハードコアと云うとNAT RECORD(ナット・レコード)は外せません。NOFXやハイスタ好きの大学生が教科書をNATのレコード袋に入れて通学するのが彼等なりのステータスでした。NATはハードコアなイメージでしたが、自主盤やノイズのレコードも扱っていて意外な発見が毎度有りました。好きなジャンルは違えどレコード好きな同級生とNATのスタッフ(無口の方が多い)の特徴について語っておりました。柏木公園の向かいに同系列のREGGAE SHOP NAT(レゲエ・ショップ・ナット)があり、こちらも意外やDUBなセレクトが少量だけど厳選されており、NYのWackie’sやKing Tubby周辺のバックカタログを行く度に買っておりました。狭い店舗で店員と二人きりになっても必ず欲しいレコードが手ごろ価格で買えるのです。

 西新宿にはマンションの一室で営んでいるショップも多く、メキシコの覆面プロレスラー・ロゴで知られるLos Apson?(ロス・アプソン)がその中でも異質でした。浅草橋ヤング洋品店(アサヤン)のコーナー、ナイナイの史上最悪最強のバンド計画で紹介されたお店であったので、変態なレコード専門店のイメージでしたが、民族音楽から12インチまで狭い空間で幅広く扱っており、キャプション(レコード紹介コメント)も面白く、良く通いました。上述の20年振りに再会したDJ仲間から、当時、ヤバい店員がロスアプにいたよ!と聞き、恐る恐る再訪してみると、見たことが無い店員さんが座っており、新着12インチをパタパタしていると、そのやばい店員がおもむろに立ち上がり、噂通り、私が好きそうなレコードを斜め後ろから新着コーナーへ絶妙のタイミングで投入=カットインしてくるのです。現在は幡ヶ谷を経て、高円寺で営業を続けられております、リスペクト。

 他にもロック系の老舗中古ショップ、新レコのマダム、ブートビデオ屋、西新宿の入り口付近にあるマンションにも面白いレコードは多数ありましたが、正確に覚えておりません。 結果、レコード屋の記憶は、レコードよりも店員さんのイメージが強く、店舗の顔になるVDSヤングライオン達に大いなる期待を!  

 新宿と言えば、CISCO ALTA(タモさん)店も外せませんが、その話をすると長くなるので次の機会に。
 当時の貴重なレコードショップ・バッグは(https://twee.net/misc/bags/list.html)を借りました。

 やはり新宿のジャケットと言えばPIL!

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